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韓国・朝鮮の歴史と文化

ここでは、韓国・朝鮮の歴史と文化について、簡単に見てゆきましょう。(2023.4.26更新)

2000年以上にわたる歴史

  • 【三国時代】紀元前1世紀、高句麗(コグリョ/こうくり)・百済(ペクチェ/くだら)・新羅(シルラ/しらぎ)の3国がおこり、お互いに対立しながらも周辺の部族を吸収して、支配領域を拡大してゆきました。これらの国々は、中国から伝わった仏教や儒教、官僚機構などを活用しながら国家の支配体制を整えました。
  • 【統一新羅】7世紀後半、新羅は唐と連合して百済と高句麗を倒したのち、唐からの影響力も絶って三国を統一しました。仏国寺や皇龍寺などに代表される仏教文化が花開き、首都の慶州(キョンジュ)は大いに栄えました。しかし、王位継承の混乱や貴族政治の弊害から国力は衰え、10世紀初めに再び3国に分裂しました。
  • 【高麗】混乱の中で、王建(ワン・ゴン)が建国した高麗(コリョ/こうらい)が936年に再び半島を統一しました。高麗にも仏教文化が受け継がれ、宋との交易で大いに栄えました。しかし、12世紀後半には武臣によって実権が掌握され、さらに13世紀半ばから約100年間はモンゴル帝国の支配下に置かれました。
  • 【朝鮮前期】高麗がモンゴルの支配から離れた後、武将の李成桂(イ・ソンゲ)がクーデタを起こして高麗を滅ぼし、1392年に朝鮮を建国しました。朝鮮は仏教にかわって儒教(朱子学)を国家統治の基礎に位置づけるとともに、15世紀にはハングル(訓民正音)や基本法典である「経国大典」などが成立しました。
  • 【朝鮮後期】16世紀末に豊臣秀吉の侵攻(壬辰倭乱/文禄・慶長の役)を受けた朝鮮は、国家体制の再構築に迫られました。大同法の施行による税制改革、貨幣と定期市を中心とした流通経済の発展、農業技術と水利技術の高度化などを通じて、朝鮮の社会はしだいに経済的に豊かになり、人口も増加しました。
  • 【開国時期】朝鮮は19世紀後半に「開国」し、西洋の文明や社会制度を積極的に受け入れて国の近代化をはかるとともに、1897年には王が皇帝に即位して国号を大韓帝国と変えました。しかし、朝鮮への影響力をめぐって日本・清・ロシアなどが対立し、日清戦争と日露戦争をへて、日本が朝鮮での支配権を確立しました。
  • 【日本統治期】1910年に大韓帝国は日本に併合され、1945年まで日本の一部として統治されました。1919年には朝鮮の独立を訴える「三・一運動」が起こったほか、朝鮮の内外で独立を目指す活動が続けられましたが、1930年代半ば以降は日本「内地」と同様に、戦争に向けた動員体制が築かれました。
  • 【南北分断】日本が敗戦した1945年の夏、朝鮮半島には北からソヴィエト軍が、南からアメリカ軍が進駐しました。その後、世界的な冷戦構造の中で北緯38度線を境に分断され、1948年には南に大韓民国(韓国)、北に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が成立しました。1950年には両国間で朝鮮戦争が勃発し、現在も休戦状態にあります。
  • 【現在】韓国では長期にわたり軍事独裁政権が続きましたが、1987年に民主化され、現在は5年おきに選挙によって大統領が選ばれています(現在は尹錫悦〔ユン・ソンニョル〕)。いっぽう北朝鮮では、金日成(キム・イルソン)から3代にわたる世襲体制が続き、現在は孫の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が実権を握っています。

儒教を中心とした伝統文化

  • 【仏教から儒教へ】三国時代から高麗までの王朝は仏教を保護し、そのもとで仏教文化が築かれました。しかし、朝鮮王朝は儒教(朱子学)を基礎として支配体制を整えるとともに、仏教を排斥しました。全国各地に儒学の学習施設である郷校が置かれたほか、科挙の合格者が出た一族には特権が与えられました。
  • 【身分社会】やがて、特権を与えられた人たちは「両班」(ヤンバン)と呼ばれる特権階層を形成し、一般民衆や奴隷を使って農場経営をしながら、政治の世界で活躍することになります。いっぽう朝鮮後期には、農業技術と貨幣経済の発達にともない、一般民衆の中からも豊かな人たちが現れてきました。
  • 【伝統と現代】現在は「両班」という社会階層こそ存在しませんが、多くの人々が「両班の子孫」であることを自負しています。また、長い歴史の中で築かれてきた生活習慣や冠婚葬祭の風習だけでなく、家族制度や会社などの組織運営の面でも、儒教文化の影響を強く受けているものが数多くあります。
  • 【その他の宗教】朝鮮半島では、朝鮮王朝の成立期に一度は弾圧された仏教が引き続き信仰されているほか、ムーダン(巫堂)によるシャマニズムや山岳信仰、風水地理などの土着的信仰もひろくみられます。また、19世紀の開国後に普及したキリスト教(カトリック/プロテスタント)も広く信仰されています。

家族制度からみた現代社会

  • 【「孝」を重視】儒教社会では家族制度をとても重要視しており、特に先祖や父母・祖父母をうやまうこと(孝行)を道徳の基本としています。現在でも、4代上までの先祖をまつる祭祀(チェサ)を行なう家がありますし、お正月や「秋夕」(旧暦8月15日)には故郷に帰省して、一族が集まって祭祀を行なう風習もあります。
  • 【父系血縁集団=宗族】朝鮮半島の家族制度は「宗族」という父系血縁集団として形成されています。「姓」は父系血統を表す記号ですので一生変わりません(したがって夫婦別姓です)。また、始祖の出身地を「本貫」と呼び、「本貫−姓」という組み合わせで表します。宗族集団では数十年おきに家系図である『族譜』を編纂します。
  • 【妻(母親)の位置】宗族制度では、妻(母親)は夫(父親)の宗族に入れませんので、自分の子供に教育を施して出世させることで、夫の宗族内での地位を確立しようとします。子供の側も、そうした母親の期待に応えることが「親孝行」だと考えています。こうした家庭環境も、激しい競争社会を生み出す要因になっています。
  • 【若者文化と儒教】現在の韓国では、急速に進む少子高齢化や、長期にわたる経済の沈滞により、若者層を中心に「親孝行」に対する認識も変化しつつあります。また、核家族化の進行により、地方の実家に帰省をせず、祖先祭祀も簡素化する傾向があります。社会の変化にともない、伝統文化も変わりつつあります。

韓国の若者…徴兵制度

  • 【約2年の兵役期間】韓国では現在、20歳以上の男子に対し、18ヶ月〜2年間の兵役の義務が課せられています。ほとんどの男子は大学を休学して兵役につき、集団生活の中で厳しい訓練や任務につきます。男子たちは兵役を通じて国を守ることの大切さを学びつつ、苦楽をともにした「男同士の絆」を深めていきます。
  • 【兵役はつらい】その一方で、集団生活や軍事訓練に適応できない男子も多く、脱走や銃器乱射などの事件がしばしば発生しています。宗教などを理由とする「良心的兵役拒否」制度が最近導入されたものの、有名人や政治家の子供が病気を偽ったり政治力を使ったりして兵役を逃れる「事件」も多く、社会問題化しています。
  • 【女子にとっての徴兵制度】徴兵制度は、同世代の女子にとっても無関係ではありません。ボーイフレンドとは遠距離恋愛になりますし、会える機会も限られます。また、大学では兵役から戻った大先輩たちと一緒に勉強することになり、コンパなどでは必ず、彼らから軍隊での武勇伝をさんざん聞かされます。
  • 【男女関係と兵役】現在、兵役は男子にのみ課されているため、兵役の有無が男女間の「性差」を肯定する論理につながったり、男女間の対立を煽る要因にもなっています。しかし、急速に進む少子化のため、兵員の確保が難しくなっていることから、女子への兵役実施が議論されています。

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慶州の仏国寺
 
高麗版八万大蔵経

朝鮮王朝の王宮・景福宮

日本統治期の大田(テジョン)中心街

朝鮮戦争の仁川(インチョン)上陸作戦を再現したジオラマ

儒教の教育を目的に全土に設置された「郷校」(懐徳郷校) 

韓国族譜博物館(大田広域市) 
 
陸軍訓練所(忠清南道・錬武邑)